営業担当者の「書く時間」が業務を圧迫
本件のクライアントは、人材派遣事業を展開されている企業さまです。案件を受注すると基幹システムに情報を入力し、その情報をもとに複数の求人媒体(ジョブギア・ジョブオプ・バイトルなど)向けに求人募集文章を作成する必要がありました。
1案件に対して4つの媒体用に異なるフォーマットで文章を作成する必要があり、営業担当者一人ひとりが膨大な時間をこの作業に費やしていました。職種やブランド、勤務地の特徴を踏まえた魅力的な文章を書くには、経験とセンスも求められます。結果として、本来注力すべき営業活動や顧客対応の時間が圧迫されていました。
基幹システムのデータを活かせないか
基幹システムには、案件に関する詳細な情報(職種、ブランド名、勤務地、勤務時間、時給など)がすでに登録されています。しかし、これらの構造化されたデータから、求人媒体ごとに最適化された「読まれる文章」を作成するのは人間の仕事でした。
「この入力済みのデータをもとに、AIが自動で文章を生成できないか」というのが、今回のプロジェクトの出発点です。
実証実験で「このまま使える」品質を確認
まず取り組んだのは、実証実験です。基幹システムのデータは必ずしも整理されているわけではありません。入力の粒度やフォーマットにばらつきがある前提で、AIがどの程度の品質の文章を生成できるかを検証しました。
テスト的なデータを入れて、すぐに結果を参照できる実証実験用のシステムを作成しました。これにより、アウトプットのクオリティやハルシネーションのリスク判断等を行うことができるようになります。
本システムによる実験の結果「このまま使っても問題ない」という評価をいただきました。職種の特徴を活かしたキャッチコピー、ブランドや勤務地の魅力を織り込んだサブコピー、仕事内容の詳細な説明文など、各媒体のフォーマットに合わせた文章が自動生成されます。
システム構成と仕組み
基幹システムからCSVで毎日データを出力し、更新分のデータをAIジェネレータが取り込みます。AIが文章を自動生成し、各求人媒体のフォーマットに合わせたデータを出力します。
夜間のバッチ処理にも対応しており、膨大な案件数でも翌朝には処理が完了している仕組みです。
画像についても、職種やブランドに関連する画像をデータベース化しておくことで、AIが適切な画像を選定・処理します。これにより、文章だけでなくビジュアル面でも媒体ごとの最適化を実現しています。
導入の決め手
本プロジェクトでは、以下の点が導入の決め手となりました。
第一に、「実証実験で効果が確認できたこと」。データが完全でない状態でも、実用に耐えうる品質の文章がAIによって生成されることが実証されました。経営陣が実際の出力結果を確認し、即断でプロジェクトの本格始動を決定されました。
第二に、「業界でも類を見ない先進的な取り組みであったこと」。同業他社に先行する業務改革として、競争力の強化にもつながる取り組みと位置づけられています。
第三に、「段階的に導入を進められたこと」。まず実証実験で効果を確認し、その後本格開発に移行するというプロセスにより、リスクを最小限に抑えた形でAI導入を進めることができました。
AIは「人の仕事を奪う」のではなく「人の時間を生み出す」
本事例は、AIが人間の仕事を代替するのではなく、繰り返しの多い作業から解放することで、人がより価値の高い業務に集中できるようになった好例です。求人文章の作成という、これまで個人の経験やセンスに依存していた業務を、AIがシステムとして標準化。担当者は生成された文章の確認や微調整に集中し、空いた時間を営業活動や顧客フォローに充てることが可能になりました。
NetRealでは、このような業務へのAI組み込みを「アセットマイニング(データ資産の発掘)」「コンテキストデザイン(思考ルールの自動化)」「レディメイドエンジン(AI駆動の基盤)」という3つのフレームワークで体系的に支援しています。
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