最近、企業へのサイバー攻撃やシステムの脆弱性に関する報道が相次いでいます。
弊社NetRealでも、これまでもセキュリティには十分注意を払い、システムの安全性を確保するための対策を継続してきました。
しかし、AIの登場によって、サイバー攻撃を取り巻く環境が大きく変わってきたと感じています。
これまでは、攻撃する側にも相応の技術力や時間が必要でした。そのため、攻撃対象となりやすい箇所や手法にも一定の傾向がありました。
ところが、AIを活用することで、システムの弱点を探す作業や攻撃手法の分析などを、以前より効率的に行えるようになってきました。
これまで攻撃者があまり注目していなかった箇所や、調査に手間がかかるため見過ごされていた部分まで、攻撃対象になり得る時代になったということです。
つまり、従来と同じようにセキュリティ対策を行っていても、攻撃する側の能力が向上し、調査対象も広がっているため、防御する側も対応範囲を広げていかなければなりません。
今回のような問題を通じて、世間の方々にぜひ知っていただきたいことがあります。
それは、「セキュリティはタダではない」ということです。
ITの世界では、OSやデータベース、PHPなどのプログラミング言語が常に進化し、バージョンアップが繰り返されています。
これらの一部を更新するだけでも、他のプログラムに影響が及び、システム全体が正常に動くように改修しなければならない場合があります。
また、最新版であれば必ず安全というわけでもありません。新たな脆弱性が発見されれば、その都度、修正プログラムを適用する必要があります。一方、古いバージョンはサポートが終了すると、原則として修正プログラムが提供されなくなります。
例えばPHPのバージョンアップに合わせて、既存のシステムが正常に動作するかを検証し、必要に応じてプログラムを改修しなければなりません。
これは決して小さな作業ではありません。
システムは一度開発すれば、それで費用がかからなくなるものではなく、安全に使い続けるためには、継続的な保守・改修費用が必要になります。
さらにAIの登場によって、従来のセキュリティ対策に加え、これまで以上に広範囲な脆弱性の調査や検証が求められるようになっています。
つまり、AIによって攻撃する側の効率が上がる一方、防御する側にも、これまで以上の対策と費用が必要になってきたということです。
SaaSサービスも受託開発システムも、今後はこうしたセキュリティ対策に伴う費用負担が、これまで以上に重要な経営課題になっていくと思います。
そして、その費用をお客様にもご理解いただかなければなりません。
一方で、AIが登場した現在、この状況は新たな可能性も生み出しています。
AIを活用することで、プログラムの改修、テスト環境での動作検証、不具合の発見など、これまで人が多くの時間を費やしていた作業を効率化できるようになってきました。
もちろん、AIを使えばすべて解決するわけではありません。AIの利用にも費用がかかりますし、AIが行った作業の正確性や安全性を確認する工程も必要です。
それでも、AIを上手に活用することによって、セキュリティ対策に必要な作業の効率を高め、費用の増加を抑えることは十分に可能だと考えています。
安全性を高めながら、いかにお客様に受け入れていただける価格でサービスを提供し続けられるか。
これが、今後のIT企業にとって大きな競争力の差になっていくと思います。
そして、その競争に企業規模の大小は必ずしも関係ありません。
大企業であっても変化に対応できなければ競争力を失い、中小企業であってもAIを使いこなし、変化に素早く対応できれば、大きな競争力を持つことができます。
AIを単に利用するだけでなく、AIを理解し、AIを御しながら、セキュリティと品質に責任を持てる人や企業が生き残っていく。
そんな時代に入ったのだと、今回の出来事を通じて改めて感じています。
